君が好きになるまで、好きでいていいですか?
清淡で整った顔立ちの切れ長な目を潤ませて今………なんて?
「あの………課長……………起きてます?」
「万由とキスしたい……万由と……シタい……」
「っ?!」
肘をついて頭だけ起こした後藤に酔って虚ろな目でジッと見つめられて
充血したその真っ直ぐ逸らさない真面目な瞳に
カァッと赤くなる
『ヨシだって男だから何があるか分からないし』
後藤から身体を引くと、その頬にある手が追いかけて、親指が万由の唇に触れる
思わず目を閉じると、起き上がった後藤の唇が近づいてきた
「!!!」
「俺にしろよ、あいつより泣かさない……」
息がかかる程近い耳元でそう言われ、ふわりと髪の毛が頬をくすぐる
「……………っ」
ドキドキッドキドキッドキドキッドキドキッ
どきどきっどきどきっどきどきっどきどきっ
万由の肩にある後藤の顔が、力のぬけたように重くなっていく
「…………ん?」
騒がしかった胸の音とは逆に、彼から微かな寝息が聴こえる
「………………」
この状態に万由の気が抜ける
ははっ…………き、キスされるかと思ったぁ
この人酔ってたんだった…………
肩に乗った後藤の頭をベッドに戻そうと押し戻すと、掴まれていた腕と一緒にベッドに倒れ込んだ
「わっ!」
肘で支えながら後藤の胸板の中に顔が埋まった
すぐに離れたのに手首が掴まれたまま
軽く振ったらなぜか後藤の手に力がこもる
本当は起きてるんじゃないの…………?!
いや…………やっぱり完全に熟睡している
はぁっ………もう抵抗する気力がない
「後藤課長…………手を離してくださいよぉ
帰れないじゃないですかぁ………」