君が好きになるまで、好きでいていいですか?
浅野先輩や秘書課の面々、その他わりと年齢の上の連中ばかりのテーブルの中、横目で若い営業部と企画女子たちのテーブルを追っていた。
「後藤………視すぎだ穴が開くぞ」
隣でクックッと笑う浅野
「そもそも、お前のその何でも仕事を抱え込む性格が、他人に隙を見せているんだぜ。いつの間にか誰かに連れてかれるぞ」
「なんの話ですか……………」
「敵はここ、目の前に居るかもしれないし。」
自信満々で自分を指差す浅野
はぁっ…………?!
「彼女がフリーになったって事は、誰にでもチャンスはあるが、もう既に俺のお手付きではないかと噂がある時点で、一歩リードだろ。」
ふざけるな、と先輩を睨みながら視線を向けた
「そうゆういい加減な…………」
「実は俺と彼女は、たまにプライベートな話題も共有する仲だしぃ。大体今、沢村万由はお前のものじゃない」
「…………っ」
「今日は俺が、万由ちゃんを送って行っても違和感ないだろ?」
「なっ…………俺が約束したんだっ」
「一方的にだろ?」
ブランデーを飲みながらニヤリと口角をあげる
さっきの、見てやがったな………?!
「じゃぁ……このブランデー、お前が俺より一杯でも多く飲んだら、俺は沢村万由に手を出さない」
なんだよそれ?!
「また訳の分からない事を…………」
額を手で覆い溜め息をつく
「なんだ? ははっ、やっぱり自信がないのか?まぁそんなもんだよなお前の恋愛なんて…………」
後から思えば只の挑発だったんだろう
この人とは長い付き合いなのに………乗ってしまった