君が好きになるまで、好きでいていいですか?


なんだとぉ………あんたにだけはそれ、言われたくないぞ、と


「わかった…………やるよっ」



「よぉーし、じゃあ飲め。で、俺を酔わせたらお前の勝ちだ!」


そんな挑発に乗り、つい向けられたグラスを取り、ボトルごと頼んだブランデーをグラスに注いだ

◆◇◆◇




その時の状況を思い出しなから、頭を抱える

「あ、勝負……………」


「主任の反則負けですよ。ほとんど飲まずに、足下の隠したバケツに棄てていましたから」

「……………っ」

そうだった………そうゆう人だった

向かい合ったダイニングテーブルで、ふと顔を上げると、目の前に座る万由とバッチリ目が合った

「しょ………賞品とか、無効ですからっ」

そう言って眉をひそめた



「賞品?」

ああ……………
確かチューだったっけか…………

「完全に先輩の策略にはまったのかも………」

長い付き合いだ、俺を挑発して酔わせて、送っていけば自分も帰れるし

完全に俺の沢村万由への気持ちを遊ばれた



…………あの人は本当に、そうゆう人だった



「策略?」

キョトンとアイスコーヒーのグラスを両手で持って飲みながら、無防備に首を傾げる万由を見て、また小さく息をつく


「……………沢村さんも、ダメだよ。
いくら上司に命令されたからって、簡単に男の部屋になんか………しかも、自分の事を好きな男の。何かあってからじゃ遅いからね……………ん?」

説教まじりに言った言葉の何に反応したのか、彼女の顔がみるみる赤くなっていく


「ほ……ほんと眠っちゃうなんて、すみませんっ!かかかっ帰りますっ」

バタバタと立ち上がり鞄を手に持ち、耳まで真っ赤になって、玄関へ身体を翻す


「え………え、ちょっとっ!」


なんだ? この明らかな反応は………
今までだって、何度も同じニュアンスで言った事あっただろ?!

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