君が好きになるまで、好きでいていいですか?
暫く彼女が出ていった玄関のドアを見詰めていた。
『考えさせて下さい』
そう言った声が何度も頭にリピートする
今までその場で即断りの言葉しか出てこなかったはず………
考えてくれるのか?
小さい期待に胸踊らせ、頭痛さえ心地よく脈打つ鼓動に感じてくる
いやいや………まだぬか喜びかもしれん
そぅ思いながらも、口角が微かに上がる
はぁっ………
二日酔いの気持ち悪さなのか、胸がいっぱいで午前中は何も入りそうにない
pruuuu ……pruuuu ……pruuuu ……
スマホから『浅野先輩』の表示で着信が鳴る
『ヨシ、おはよう。大丈夫か?』
心配する様子もなく、いつもの明るい声だ
普段使いの呼び方に、今自宅マンションだと分かる
土日などは大概会社にいる人なのだが
土曜の朝のこの時間に電話してくるのも珍しい
「大丈夫な訳ないじゃないですか、先輩のせいで」
俺が不機嫌に答えるのを分かっている様に
『だよなぁ』と失笑する
「何ですか?」
『いやなに、万由ちゃんはどうしたかと思って?』
確かに昨日の無茶ぶりで、背中は押されたが、恋愛相談するつもりはない
「…………さっき帰った」
『えっ、さっきまで?! やったのか?』
電話口で声が小さくなる浅野に、少し違和感を感じるが、全くなんて発想だ
「昨日の状況でそうなる訳ないだろ………」
段々とこっちも普段使いの言葉になってくる
ま、告白はしたが……………