君が好きになるまで、好きでいていいですか?
この時、先輩は副社長として長期の海外出張に行ったばかりだった
同棲を解消して、実家に戻る荷物も片づけた後だった
働いていたカフェにももう最後だという時、一花が倒れたと病院から連絡が来た
「……………流産?」
病院に駆け付けた一花の父親に、なにも言わずにいきなり殴られた
「父さんっ違うの!」
「何が違うんだ!流産させられて別れるってゆうのはどうゆう事なんだっ!」
「…………っ」
当然だろうな。同棲は親達も既に了解済みだったのだから
「佳樹は知らない事なのっ!もう別れるって事は話し合った後だから」
「男だったら責任を取るのが普通だろっ」
流産した子供の父親が俺じゃない事は、俺と一花しか分からない
だから…………その事に関しては、一花の家族と俺の家族とで話し合った
俺たちのせいで、仲の良かった家族同士の交流は一切断ち切られた
そしてこの時先輩に関しては、存在として話には出さなかった
その後、先輩が出張から帰ってきた時には一花は実家にさえいない様子で、先輩から逃げる様に一切の連絡を断っていた
一花の本質をなにも知らなかった俺も最悪だが、いきなり目の前から理由なく消えられた先輩も気の毒だった
この後暫く先輩とも俺は、まともに話が出来なかった
流産に関しては、考えた末にやっぱり先輩に伝えた
きっと彼女は、子供が出来たと分かったところで俺と先輩から逃げようとしたんだ
裏切った俺からと、先輩の副社長という肩書きから
短大をでて、就職出来ずにカフェ店員をしていた彼女は、いずれ大手企業の社長という先輩をどんな風にうつしていたのだろう
子供が流れなかったら、親にはどう説明したのだろうか……………
間違えなく俺との関係はこの半年前からなかったんだ、あれは先輩の子だったはず
俺の子供ではないと俺が言ったところで最低な人間のレッテルを貼られるだけだった
勿論彼女を傷物にしたと、まだ彼女の親からはそのまま思われているのだろうが
そんな一花が暫く俺は、許す事が出来なかった
そして、そのうち一花が親の薦めで見合いをして結婚したと聞き、それをそのまま先輩に伝えた
結局そんなものだと、先輩も諦めがつくと思った