君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「ヨシ、俺結婚するわぁ」
二人の行き着けのBar で前触れもなくそう言われた
「見合いですか?」
男としてはまだ結婚に急ぐ歳でもないが
「新見環に子供が出来た」
「……………はぁっ?!」
才色兼備の社長秘書
「付き合ってたんですか?」
「いや………俺の子じゃない」
「へっ??」
「俺の叔父、社長浅野龍成の子だよ。おろそうとしてたから、俺の子供として育てる事にした」
「!!」
驚きと言うより呆れた。この人にはどんな心臓がついているんだ………
社長には子供がいない。奥さんが体が弱かったから、だから甥の先輩がいずれ社長になるためにに副社長として会社に入社した
しかし、その社長の子なら………
「不倫の子なんて世間の風当たりが厳しいだろ? でも、俺と結婚した環が産んだ子は、いつか後を継いで正式な社長だ」
「…………そんな結婚、一花への当て付けですか?」
思ったことをそのまま口に出したが、先輩は
「何だそれ、違うよ」と、屈託もなく笑われた
「それじゃあ新見さんとはそうゆう関係なんですか?」
「………残念ながらお互い今のところそいゆう気持ちは持ち合わせていない。彼女は社長が好きだからね」
「……………」
笑顔のままそう言うこの人に一花は惚れたんだと改めて思った
しかし、結局子供が産まれて程なく彼女の方から離婚の申し出があったらしい。
本来、関係のあった社長と親戚と言うか、親同然の付き合いをしなければならない立場には、耐えられなかったのだろうか。
それをまたしても『副社長の浮気』などと自分から地位を落としてまで…………