君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「それもデコピンされたの?」

私の微かに赤くなっているおでこに、口を押さえながら視線を向ける

「こっこれは違います! これはさっき会議室で扉と出会い頭に…………」

ちょっと会議室の準備に遅れてたから急いでて、開けようとした扉が反対側から同時に開けられて………

そういえば頭打ったんだった。
え、おでこ……………赤くなってる?!

前髪が分けてある額丸出しのそこを視線を上げながら擦ってみせる


「クックッ…………かわいい」

「…………っ」

肩を奮わせて笑いを堪える後藤の前で額を両手で隠した


ぷくっと少し頬を膨らませる

「………意地が悪いです」

「ごめん、ごめん。でも、俺にも敬語なしで………」

「無理です」

一刀両断した

そっかぁ、と諦めたような声を出したあと、「じゃあせめて役職呼びはなしで」と繋げた

「役職呼び? 課長は課長じゃないですか」

う~んと、首を傾げる後藤が少し苦笑いを
見せる

「君の上司じゃないし、一緒にいても仕事してるみたいだし『後藤課長』って………」

確かに………じゃあなんて?

「…………」

「下の名前呼び?」

「無理です」

これまた一刀両断第二段

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