君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「そっか、わかった」
ニコニコと目の前にいる後藤の後ろが気になって
「あの、課長 皆さん待ってます……」と俯いたまま言うと、頭の上がスッと暗くなった
「え………った!」
ペチッと軽く額を長く太い指で弾かれた
へっ?!
「課長はなし」
決して歩美さんみたいに痛くはなかったが、不意討ちの不意討ちで、額に手を充て
目を見開いて後藤を見上げた
「デコピンの刑」
「………………」
はぁっ?!
こ……ここっこんな大勢の人が見てる前で
なに考えてっ!!
「みんな見てますっ!」
「はははっ、じゃあ後でね」
「…………っ」
会社のある駅から2駅先にある
割りとアットホームな洋風居酒屋
と、そう説明されて気が付けばよかった……
「ここ…………ですか?」
「そう、一度だけ同僚と来たことあるんだけど、割りとメニューが豊富で美味しいんだ」
「……………」
そう言う後藤に、万由はその店の前で棒立ちになった
ここは慧斗と万由の会社の中間地点であり、二人のいつもの待ち合わせ場所だった
まさにその店だ