君が好きになるまで、好きでいていいですか?
駅についてまだ時間があったため、結局後藤さんも、私の駅の電車に乗り込んだ
「反対方向なんですから、大丈夫です。」
そう言ったものの、
「そんな訳にはいかないだろう」ってマンションの前まで送ってもらった
こうゆう場合、寄ってお茶でも…………とでも言うもんだろうか?
フワリと降りてきた大きな手のひらで頭を撫でられ、
「遅くなったけど、疲れなかった?」
「いえ、本当に楽しかったです」
そう言うと、目を細めて「良かった」と安心した様に言った
遅くなるから、ここで帰るね。と手を振って駅に戻っていった
「…………」
こんなに優しい人に、好かれてていいんだろうか
確かに、少し前まであった失恋の寂しさがいつの間にかあまり思い出さなくなっている
でも、それで彼を好きかと言われると、まだ思わず首を傾げてしまう
ただ大事にされる幸福感だけを感じていていいんだろうか…………