君が好きになるまで、好きでいていいですか?


………昼食もそこそこに、営業部に帰って来ちゃった


歩美さんも、あんなコト言わなくてもいいのに、もうっ!


「………………」


まだ20分ほどある昼休憩を、どう過ごそう




「あれ、沢村さんだっけ? お昼はまだ?」

誰もいなかった営業部に、出先帰りらしい人が一人入ってきて、ホワイトボードに書いてある出先名を消していた


営業部の人かな? ヤバイまだ名前分かんない


「いえ、もう食べました。えっと……」


「高石だよ、よろしくね。企画部からだろ沢村さん。まだ食べてなかったらランチ奢ったのに、時間があるからコーヒーでも飲みに行く?」

身持ち軽くそう誘ってきた高石の、あまりのさりげなさに一瞬言葉を失う


「…………いえ」



「高石さん、だめですよ。沢村さんは好きな人いるみたいですから」

「へっ?」


声のした方をみれば、そこに桜井亜沙美がいた。

「そうなの? 可愛い子はやっぱり理想が高いんだろうなぁ~」

そう言って残念残念と、昼食に出て行った



「……………」


「ダメよ気を付けないと沢村さん、営業部の人は基本的に軽いんだから」

ニコニコと近づいてくる彼女に、今度は少し違和感を感じた


「…………そうなんですか?」

初対面でランチ奢るって、確かにそれは社交辞令だよね…………

「みんな、女の子だったら誰でもいいんだから」

誰でもねぇ………

どうせ暇だからと、万由はパソコンを立ち上げた


「それからさぁ…………たかが事務なんだから、私一生懸命仕事出来ますアピールもちょっと痛いかも、やめた方がいいよ」

「えっ………」


「ねっ」と目が笑ってない笑顔で言われた


「……………」

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