君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「っ?!」

ちっ近いぃ…………!!


「………万由」


耳元から聞こえる後藤の少し掠れた声に、
右半分のすべての脈が心臓になったかのように打ち付け、一気に熱く毛穴が広がるような感覚に陥った


「ぐ、具合悪くなったんですか?だったら………」

「クックックッ脈はや………」

「…………っ」


肩を振るわせ小さく笑うその声に後藤の頭の乗った肩をずらし、振りほどいた


「か、からかわないでくださいっ」

手までは力が入っていてほどけない


「からかってないよ。
万由こそ、俺がこうしたいのは万由だけだって言ってるのに、山吹さんでも、桜井さんでもないって」

ううっ………

絡ませた手の甲をまた唇に持っていかれた

自分でも分かる。
いま全く余裕もなく、耳まで赤くしている事が、頭に血が上りそう

そのままゆっくりと、後藤のもう片方の右手が万由の頬に触れる



「…………キス、していい?」



俯いたままの万由

いい? なんて聞かれたって、どう答えたらいいの…………?


「……………そんな事、今までなんて勝手にしてきた癖に…………」

「ああ…………そうだった」


始めはこっちが泣き疲れて眠っている時に、
その次なんか、いきなり無理やりしてきたじゃんっ


「でも、風邪が移るかも………」


もう既に近づいている後藤の唇
話す言葉から息がかかる

「じゃあ、ダメで………」

「遅いよ………」


 ん


ゆっくりと重ねられた熱のある唇は、柔らかく擽るように包み込んで、
すぐに息まで持っていかれた


押し付けられるわけでもなく、控え目に舌を絡ませながらだんだんと深くなってくる

…………私、これはそんなに嫌じゃない

頬にある後藤の手の指が万由の耳朶を弄ぶ

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