君が好きになるまで、好きでいていいですか?


指が触れるか触れないかの微妙な耳の触り方に、ピクンッと肩が上がった

「……………はぁぅん」

つい漏れだした声が恥ずかしくて、思わずキスから逃れようと唇から離れ、顔を背けると

追い掛けてくるその唇が耳の近くの頬まで堕ちてきた

わっ…………

耳に響くリップ音にゾクッと背筋が震えた


絡まった方の手と一緒にソファーへ圧され、迫りくる後藤の身体が傾き、万由の頭がいつの間にかソファーの肘掛けに落とされた


えっ………え、ちょっと?!

覆い被さる後藤の身体で身動きが取れない

それなのに、熱い唇の感覚が首筋を伝い
吐息と共に降りてくる


「あ………っ」


一瞬で言い様のない恐怖心に襲われた

まって、まってまってまって……………

後藤の胸を押し上げるように掴み、顔を背けて、これ以上は無理だと力を込めた


「……………やだぁっ」





万由の声に、先走っていた後藤の動きが止まる


「あぅ……ひぃっく………………っ」


身体を離し組敷いた彼女を見下げると、顔を歪ませ涙を溜めていた


「……………ごめん」


一旦万由から離れる様にソファーから退いた後藤は、額を手で覆いバツが悪そうに頭を下げる


「本当にごめん、つい調子に乗った」


「……………」


pruuuu ……pruuuu ……pruuuu ……


タイミングよく後藤の携帯が鳴った


「もう、しないから……………」


そう言って、携帯に出ながら身体を翻し背を向け、「送るからちょっと待ってて」と別の部屋へ入って行った

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