君が好きになるまで、好きでいていいですか?


冷蔵庫の中には食べようと買ったのか、コンビニお握りが3つあった

簡単な自炊する程度の調味料はあるみたいだし、あとは玉子も2

う~ん、ネギとかはさすがにないかぁ………
でも、インスタントの味噌汁がある
おおっ、レタスだ
一応野菜気にしてるんだ………



「万由?」

よし、決めた

「鍋とかあります?土鍋とかあったらいいんですが…………」


「……………」

パタパタとキッチンの扉を見回したあと、冷蔵庫からお握りを出して見せた

「これ、使っていいですか?」

万由の予想外の行動に諦めたのか、お握りを見せる彼女にフッと頬を緩ませた


「何作ってくれるの?」


「…………簡単な玉子雑炊です。食欲無くても食べてください」


万由の隣まで近づいた後藤が手を伸ばし、
吊戸棚からピンクとブルー、ペアの一人用の土鍋を出してくれた

「これでいい?だいぶ使ってないから洗った方がいいけど」


一人暮らしの後藤には必要なさそうな可愛い土鍋が2つ


これって………もしかして元カノとの残留品?


………ん?

 【拓海&由紀子】

蓋に書かれた他人の名前


「友達の結婚式の引き出物なんだ。あり得ないだろ。捨てられないし、使えるもんだな」


「ぷっ」

確かに捨てられない。使うのも気が引けるけど、こんな重たく割れやすい物を引き出物にするなんて今時本当にあり得ない


「東北出身者の寒い季節の結婚式だったんだ。親戚の人たちは新幹線で出来て大迷惑だっただろうな」


「あはははっ」

< 196 / 333 >

この作品をシェア

pagetop