君が好きになるまで、好きでいていいですか?
もう遅いからと言われたけど、時間はまだ9時
片付けくらいしたって電車はまだあるのに

玄関まで背中を押された

だから、逆に駅まで送ると言い張るのを断った


一緒に靴を履こうと屈んだ後藤の額に手を伸ばして確かめてみればやっぱり熱いし……


「まだ身体辛くないですか? 少しでも手伝わせてくれたら、きっと早く終わってしっかりと熱が下げられるのに」

まるで追い出すように帰される事に、不満を漏らす

「大したことないよ。雑炊食べて元気になったから、すごく感謝してる」


額に添えた手を掴まれて、それをまた唇に持っていかれた

「…………っ」

指に彼の唇が触れる


「寧ろ元気すぎて、今度は途中下車出来ないかもな」

目を細めて熱くジッと見つめられると、思わず払うように手を引いた

動揺して俯く私に、後藤は呆れたように溜め息をついた


「……………帰ります。一人で大丈夫ですから」


手を離され、また明日と向けられた笑顔にチクリと胸が傷んだ





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