君が好きになるまで、好きでいていいですか?
何か良いことありました?
【Asano テクノロジー科学工業株式会社
第1課営業部 課長
後藤 佳樹 】
「ごとう よしき…………営業部?」
裏面には入社8年 30歳 9月10日生など
そう言えば『後藤さんカッコいい~』だったっけ
御姉様方の黄色い声がハッキリ思い出された
「……………」
名刺を机の上に置いたままジッと固まる
「おはよう。何やってんの?パソコン立ち上げないで、珍しい………」
「あ……………歩美さん、おはよう。」
眉間に皺を寄せていた顔を、そのまま上げた
隣の席でいつも始業5分前かギリギリで出社してくる木原歩美
「……………どうしたの?顔が不細工だけど、何かあった?」
思ったことをそのまま言葉に出す、しっかりハッキリの冷静沈着タイプの先輩
私達がいる会社は、もちろんさっき名刺を貰った後藤さんと同じ
Asano テクノロジー科学工業株式会社
企画部2班 環境技術課
企画部事務 沢村万由(さわむらまゆ)24歳 入社2年
そして、木原歩美(きはらあゆみ)はその2年先輩
そんな歩美さんの目の光がその名刺を一発で捕らえた。
「何これ?」
「あ…………いや、これは」
名刺を隠そうとしたってもう遅い。
こうゆう時の歩美さんの行動は速い
ヒョイッとそれを取り上げると「ほぉ……」と目を細めた
その目が何もかも分かったのか、そのまま万由にそれを返し、「さ、仕事仕事」と肩を強めに叩かれた
…………かなり痛いよ、歩美さん
「ランチに行くよ、万由~」
お昼になって、万由に声を掛ける歩美