君が好きになるまで、好きでいていいですか?
何か良いことありました?


【Asano  テクノロジー科学工業株式会社
    第1課営業部 課長
       後藤 佳樹       】




「ごとう よしき…………営業部?」

裏面には入社8年 30歳 9月10日生など

そう言えば『後藤さんカッコいい~』だったっけ

御姉様方の黄色い声がハッキリ思い出された 

「……………」

名刺を机の上に置いたままジッと固まる


「おはよう。何やってんの?パソコン立ち上げないで、珍しい………」


「あ……………歩美さん、おはよう。」

眉間に皺を寄せていた顔を、そのまま上げた

隣の席でいつも始業5分前かギリギリで出社してくる木原歩美

「……………どうしたの?顔が不細工だけど、何かあった?」

思ったことをそのまま言葉に出す、しっかりハッキリの冷静沈着タイプの先輩



私達がいる会社は、もちろんさっき名刺を貰った後藤さんと同じ


Asano  テクノロジー科学工業株式会社
  企画部2班 環境技術課

企画部事務 沢村万由(さわむらまゆ)24歳 入社2年
そして、木原歩美(きはらあゆみ)はその2年先輩


そんな歩美さんの目の光がその名刺を一発で捕らえた。

「何これ?」

「あ…………いや、これは」


名刺を隠そうとしたってもう遅い。
こうゆう時の歩美さんの行動は速い

ヒョイッとそれを取り上げると「ほぉ……」と目を細めた

その目が何もかも分かったのか、そのまま万由にそれを返し、「さ、仕事仕事」と肩を強めに叩かれた



…………かなり痛いよ、歩美さん




「ランチに行くよ、万由~」

お昼になって、万由に声を掛ける歩美

< 2 / 333 >

この作品をシェア

pagetop