君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「だから今日は気合い入れて行ってくるね」
「うん、頑張って」
会社の玄関ロビーで、ガッツポーズ&ハイタッチ
………………いってらっしゃぁい
「仲のいいお友達がいるのね。楽しそう」
手を振る万由にロビーの待ち合いスペースにいた女性が立ち上がり話し掛けてきた
「?」
緩いウェーブのかかった髪の長い女性
サングラスを掛け、紺色の裾刺しゅうブラウスにデニムのストレートパンツ
スタイルの良さが分かる
ポカンとする万由に、ニコニコしながら近づいてくる
「忘れられちゃった?飲みに行こうって約束したのに」
そう言ってサングラスをとって見せた
「あ…………」
後藤さんの元カノで主任の彼女さんだぁ……
「えっと、一花さん…………?」
「正解っ!実はあの後どうしたかなぁと思って…………彼氏の部屋に来たらいきなり見知らぬ女って、とんでもない事でしょ?」
そう言って目の前に立つ彼女はやっぱり大人っぽくて綺麗な人だ
「はぁ………あ、でも簡単に説明してもらいました」
「なんて?」
「え、山森一花さん、幼馴染みで7年付き合って6年前に別れて、6年ぶりに逢ったと」
確かそう言ってたかな
「それだけ? どうして別れたかとか、なんで部屋にいたのかとかは?」
「…………特には」
合鍵置きに来たとは聞いたけど…………
「…………」
会社のロビーで、立ち話もなんだから、
その後はズルズルと腕を引かれ「取りあえず行こうっ」と連れて行かれた