君が好きになるまで、好きでいていいですか?

隣の部屋で、7年も付き合ってる彼が酔って寝てるのに

きっと後からすごく自己嫌悪に落ちることも分かってて、なぜかその思いを後回してしまった

そして、そう思ったのは私だけじゃなかったらしく、
頬に手を添えたまま謝りの言葉を発したその人に、
私も同罪なのだと伝えてしまった…………



何も知らない彼の前で、一時の気の緩みだったのが日に日に確信に変わって、

その人と会える気持ちが顔に出るようになっていたのかもしれない…………
3人で会う事が気不味くなっていった


「……最近、浅野先輩と飲みに行かないのね」

「ああ、同僚とつるんでる事が多いから」


「そう………」

本当にそうなのだろうか

前は、大学からの付き合いで一緒にいた先輩が、会社社長の甥であり副社長だということで、同僚から一線引かれていると言っていたのに


会えないと、恋焦がれていく
一体こんな気持ちになったのは何年ぶりだろう


彼も何か感づいているのだろうか…………
相変わらずのスレ違い生活に、会話の優しさがなくなっていた

何でも言い合えたはずなのに、何も言い合えなくなっていた。



でも、もしかしたらこれはお互いの想いを知るチャンスなのかもしれない

危機感を持った彼の嫉妬心を、居て当たり前の空気に植え付けてくれる

幼馴染みからの恋人で、甘い言葉も嫉妬心も出さないできて、お互いのルールさえ暗黙の了解だった私たち


私は、普通にトキメキあう恋人が羨ましいと思っていたのだ


< 202 / 333 >

この作品をシェア

pagetop