君が好きになるまで、好きでいていいですか?
ある日
短大を卒業したが、就活に失敗したために働いていたカフェに、暫くうちにこなくなったその人がやって来た
「一花ちゃんは、今楽しい?」
「…………」
微妙です……………
だから答えられません。
私はどんな顔をしていたのだろう
休日だったその日、帰ったら彼とその人が珍しく家にいた
その状況にまだそんなに時間が経っていないのか、先輩にコーヒーを出す彼が見えた
微かに開いたリビングのドアから漏れる会話
「……………だから、一花ちゃん俺が貰っていいか?」
…………っ!!
「……………どうゆう事ですか?」
「ただ、俺が一緒にいたいだけなんだけどね」
見事に今の私たちに風穴を開けたその人の言葉
「…………」
「………そんなこと一花が決める事で、俺が決める事じゃない」
「…………は」
まるで自分には関係ないといった彼に唖然とした
思わず声が出た、ドアの前に立つ私
当然のようにリビングに座る彼らの視線と絡まった
「なに………それ?バカにしてるの佳樹」
「一花ちゃん…………」
その人は立ち上がるけど、彼は座ったまま
「佳樹はやっぱりずっとそのままなんだ…」
私はその場から逃げ出した
簡単な荷物を持って友達の家を転々とした後、彼の先輩のその人
浅野由哉のマンションに転がり込んだ
「行くとこ決まるまでうちにおいで、一花ちゃん」