君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「そっか、そうだよね。」

そんな私の声に、電話口から佳樹の大きな溜め息が聞こえる


『お前は相変わらず勝手な奴だな、本当に…………』


昔から変わらない、佳樹の私に対しての呆れた言い方だ


佳樹のところに戻ってすぐに、自分の勝手さを謝り、ちゃんと別れを告げた

申し訳なさに、7年も付き合っていた重みを感じた


「…………先輩のとこに行くのか?」


そう言う佳樹に、ふるふると首を振った


「実家に帰る。由さんとは付き合わない……」


もう、これ以上由さんにも佳樹にも迷惑はかけられない


「そうか…………」


佳樹のところにあった私の荷物を実家に送って、勤めていたカフェもやめる事に

お腹の子供の事は、実家に帰った後にゆっくり考えようと思っていたのに…………


カフェで働く最後の日、激しいお腹の傷みに倒れてしまった



目を覚ました時に、見た光景は…………

私の父親に頭を下げる佳樹の姿だった


私は、どれだけ佳樹に迷惑を掛ければ気がすむのだろうか………

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