君が好きになるまで、好きでいていいですか?

その後は実家に帰ったものの、流産のショックからなかなか抜け出せなかった

親との気不味さもあって、そのまま勧められて、お見合いをして結婚した



相手は優しい人で、暫くは穏やかな日々だった

でも、焦がれるほどの感情はなかった為

6年目の結婚記念がこない内に離婚してしまった。
相手に他に好きな人ができたらしいが、向こうが悪いとは思えなかった


30歳になる出戻り娘に、何も希望を持たなくなった親


そんな時にきた友達の結婚式に出掛け

そこで、由さんと偶然会った

披露宴が終わって、二次会はどうしようと思っていた時、奥さんと子供と3人でいる姿を遠目で見掛けて、言い様のない胸の傷みを感じた

男の子を見つめる由さんの優しい目

ああ………私は何て事をしてしまったのだろう


由さんの隣にいる奥さんらしい人は、あの時の婚約者とは違う人だった

「パパ」っと由さんの膝に乗り甘える子供が、もしかしたらあの子じゃなくて自分の子だったかもしれないなんて………

婚約者が言った私以外の女の人なのだろうか?


そう思うと、ふつふつと沸き上がる嫌な感情に囚われた





「おや、また珍しい方がいらっしゃいましたね」

「こんばんわ、私のこと覚えてるんですか?翔さん………」


その日の夜行ったのは、昔よく由さんに連れてってもらったショットbar

今日は土曜だし、家族でいるところを見掛けた由さんが、来るはずもないし

適当に飲んで、そうそうに予約をしてあるホテルに行こうと考えていた

夕方に見た由さんを忘れて、少しだけ昔の思い出に浸ることにした

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