君が好きになるまで、好きでいていいですか?
きっとまた佳樹に言われるだろうなぁ
お前は本当に勝手な奴だなって

昔によく飲んだシャンパンをグラスの中で揺らしながら、その泡立った気泡に視線を落とし溜め息をついた


「へぇ………じゃあきっと、そのネジはうちにあるよ。」


「はぁっ?」

視線を上げると、カウンターに頬杖をついたまま、彼の整った色気のある瞳がこちらを覗き込むように見つめてきた


「今日うちにおいで、見つかるから一花のネジ」


ななな、何を言ってるんだこの人は?!
うちにって………

「意味が分からない。由さんこそ早く帰らないでいいの?家で待ってる人たちが………」


「あ、俺もバツイチだから」

「はぁっ?! だって今日………」

「だから、あれは別れた奥さんと子供。
たまに会ってるからね」

ふふっと失笑しながら、さりげなくカウンターにある私の手に、節のある大きくてゆびの細い手が重なった


「その辺の話は長くなるから、取りあえずうちで朝まで語ってみようか、一花」



「……………」



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