君が好きになるまで、好きでいていいですか?



「はぁっ…………」



「どうした? 万由」


慧斗が溜め息をつく万由の顔を覗き込む

「えっ、あっううん! ちょっと会社でねぇ」

ははは………と笑顔を向ける

「珍しく万由のとこも忙しかったんだな」


せっかくの慧ちゃんとのナイトシアターだっていうのに、仕事から帰ってきたのは8時近く
いつもなら7時には家に着いているのに………

残業はないって課長は言ったはずなのに、次から次へと資料作成を頼まれて、誰も手伝ってくれない。

結局、頑張って一時間で終わらせて急ピッチで帰って仕度して…………

急いでる時に限って、お母さんから電話までかかってくるし


「ごめんね。なんか食べるもの簡単に作って来たかったのに」

そう言いながらマックのポテトを頬張る

「なんで? これが普通だろ。」




「そう言えば、お母さんから電話あって、最近おばさんに会ったってっ」

「母さんと?」

慧ちゃんのお母さんと、うちのお母さんは歳が一緒だっだこともあって私達が小さい頃から仲良しだ

今も女学生のノリでお互い連絡を取り合っているらしい

昔は………万由ちゃんと慧ちゃんがいつか結婚してくれたらいいのにって、よく言われた


「慧ちゃん、最近おばさんとこ行った?」

今現在は、うちの隣に慧ちゃんの家族はいない

「ん? 先月行ったよ。今ちょっと身体の具合よくなくて、仕事少し休んでるみたいだから、万由のお母さんがたまに会ってくれて助かるよ。」

「ははっ、うちのお母さんはただ暇なだけだから。」

映画が始まる前にそんな感じで話をした


「母さん、万由にも会いたがってたから、今度一緒に会ってくれる?」

「うんっ!もちろん」


なんかそれって………恋人を母親に紹介する的な?

ってそりゃないか。なんたって、小さい頃から勝手知ったりだもんなぁ

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