君が好きになるまで、好きでいていいですか?


「お揃いで、いらっしゃい」

木製のドアが開き、まさに思った通りの表紙もんの二人が並んでやって来た。

「っ?!」

思わずギョッする万由に、一花が二人を手招きする

「由さん、佳樹ィ、こっちこっちぃ~」


「一花……」

眉をひそめたまま、後藤が近づいてくる

「ははっ……もしかして怒ってらっしゃる?」

「当たり前だ」

「…………?」

それはそれは不思議な感じだった
後藤さんが素のままに不機嫌な顔して怒っている

「何だよ、これはっ」

後藤が差し出したのは浅野の携帯

その携帯には、ここに来た時にカウンター席で万由と一花と一緒に撮った写メにコメント


【 会社で拉致った。早急に仕事を終わらせないと佳樹の昔の恥ずかしい話しちゃうから!!と伝えて~! 】



「……………」

恥ずかしい話ってなんだろう、もしかしてさっきの『変態』と関係あるんだろうか?
訊きたいかも…………

後藤の後ろに主任が、ニコニコしながら着いてきて、カウンター席の一花の隣に座る


この間一日仕事を休んだ為なのか、それからはまた忙しい毎日が続いていた後藤

週末の定例会議を終えた後、浅野に捕まり机に積まれた部下の報告書を鞄に詰めて会社を出てきたらしい


「相変わらず忙しいんだから佳樹は、こうでもしないと逢ってくれないでしょ?」

逆に一花の席を通り越して万由の隣に座る後藤

「別に逢って話す事があるのか?先輩と付き合いだしたことも聞いたし、俺には関係の無いだろ。別れて何年経ってると思ってるんだよ」

「それはそれで、いろいろあるのよ………ケジメ的な」

一花のが乗り出しながら言うと、翔さんから出されたジントニックを口に含み、盛大な溜め息をついた

「今更………」


カウンター席で、万由を挟んだまま会話する二人

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