君が好きになるまで、好きでいていいですか?

さりげなく席をたった万由

「場所、代わります。話辛そうですし」

ジンジャーエールを持って後藤の後ろに回った


「あ、じぁあついでに万由ちゃんと僕は席外そうか、そこのBOX席で。」

シートを指差し、浅野も飲み物を手に席を立った

確かに一花さんは話があるみたいだし、この際そうした方が………

「なんでそうなる?」

移動しようとする万由の腕を掴む

「今更思い出話するつもりはないって、一花の勝手にいい加減振り回されないでくださいよ先輩」

万由を誘い出そうとする浅野にそう言って顔を向ける


「まあまあ、僕も実は同じ部署として少し万由ちゃんと仕事の話がしたかったし、それに一花に頼まれてたからね。
ヨシだったら分かるだろ、言い出したら聞かないから」

「だったら別に離れて話さなくても」


何だか、かえって後藤さんが一花さんを避けてるみたい…………



「あ…………えっと、じゃあ携帯にあった話が聞いてみたいです。後藤さんの昔の恥ずかしい話とか?」


グッと息を詰まらせる後藤を押し退けて、一花が嬉しそう「あ、それね………」と言い出すと、それをすかさず止められる


「……………」



結局、お互い一時的に別に移った



「ごめんね。万由ちゃん、ちょっと佳樹借りるね」

そう言って一花は嫌味なく片手を立てた


後藤とは、基本的に万由の前では年上で仕事の出来る男性で、棘のない人との接し方をする人だと思っていた。特に女性に対しては…………


たから、やっぱり一花に対しての後藤の態度は、万由には珍しかった


元恋人だからなのか、それとも幼馴染みという緊張感のない関係のせいなのか?

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