君が好きになるまで、好きでいていいですか?




「あ、万由ちゃんお腹すいてない?僕が頼めば翔さん特製の裏メニューでオムライスとか作ってくれるよ」


「いえ、一花さんとここにくる前に駅の洋食屋で食べて来ましたから大丈夫です。」


「じゃあ、何か他に飲む?」

ニコニコと自分の空になったグラスを持ち上げる浅野に首を振る


「いえ、あのこれまだ飲んでますから………って言うか、仕事の話って何ですか?」


「なんだろう」

笑顔を見せながら翔さんからお代わりのブランディーをもらっている浅野
それを横目に離れた場所にいる後藤たちに一瞬視線を向けた


「気になる?」

万由の視線を遮るように、顔を覗かせる浅野

「……………いえ、主任は一緒に話さなくていいんですか? 今は一花さんと付き合ってるんですよねぇ」

ずっとさっきまで聞いてた一花の話は、殆ど浅野主任中心の話だったはず…………


「そうだよ。だけど二人を引き離して壊したのは僕たからね。お互い昔は若すぎて何も話し合えなかったし、勘違いしてた事もいろいろあってさ、修正したいんだよ彼女は」


そう言って、浅野も目を細めて二人に視線を向けた


「…………修正? やり直すって事ですか?」


ははっ、そうなったら僕の立場が惨めだな
と、少し頬を引き釣らせる


「壊さなくてもよかった所の修正ね」

そう言って意味ありげに笑って見せた


「?」


一花と話をしている後藤の表情が、少しずつ解れていくみたいだ

初めは噛み付くんじゃないかと思うくらい牽制していたのに、それがだんだん優しい顔になっていた


主任と話ながら、なんだか目が離せなかった


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