君が好きになるまで、好きでいていいですか?

慧ちゃんの両親は、慧ちゃんが高校生の時離婚した。

進学校に通っていた慧ちゃんはおじさんとうちの隣にそのまま住んで、おばさんだけが出て行った。

でも暫くすると、そこに4歳の男の子を連れた女の人が一緒に住むようになって、すぐ慧ちゃんはその家を出て、一人暮らしをはじめた。

その4歳の男の子は、間違いなく慧ちゃんと腹違いの弟らしい。

そして、また暫くしておじさんのその家族は引っ越して行った


「おじさんとは会ってる?」

「…………今年は会ってないかな」

「そっか………」

慧ちゃんの両親は小さい頃から共働きで、夜遅くまでおばさんが働いていた為、慧ちゃんが私の勉強を見る代わりに、晩御飯をうちで食べたりしていた。

おじさんが女の人と子供を連れて来た時は、暫くうちで寝泊まりしていたこともあった。

おじさんの話は出すべきじゃなかった………


「……………なんか、ごめん。こんな話」

何と無くそう謝ると、長くて節のある指でおでこを小突かれた。

「何をいまさら…………クックッ」

映画が始まって、先にある大きなスクリーンに画像が映し出された。

洋画で、コミカルなラブコメディ映画

案外と泣けるとこがあるって聞いた。
車の中で二人っきりで見るには、話の話題にはなるだろう。



さりげなく、慧斗が隣でラフに投げ出した万由の手に、自分の手を重ねてきた

「えっ………?!」


繋がれた手を見て、慧斗へ視線を向けた


「万由、暗いのダメだろ。繋いでるの、嫌?」

声がでないかわりにブンブンと頭をふった


「じゃあ、このままで」


そう言って、ゆっくり指を動かしお互いの指を絡ませた


「……………っ!!」


いきなりで、恥ずかしくて…………
思わず目を逸らした。
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