君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「あ………すみませんっ」
慌てて離れて鞄を探る
誰よ、こんな時間に電話してくるのは?!
着信をみれば母親から何度もかかって着ていた
『あ…………万由?良かった、やっとつながった。今外なの?』
「…………うん。会社の人と飲みに行ってて、帰るところで、電話気付かなかったごめん」
後藤に、口パクで母からですっと伝えると、会話が聞こえない程度の場所に少し移動していった
「何?」
大した用事でもなければ、こんなに何回もコールしてこない
『実は今病院なの。慧斗君のお母さんが倒れて、それに付き添ってるんだげど………』
「えっ…………?」
慧斗の母親と食事の約束をしていた万由の母親が、待ち合わせに来ない慧斗の母の家を尋ねたら、部屋に倒れていて、急いで救急車で運ばれたらしい
『慧斗君の携帯や連絡先なんて知らないから………あんたは分かるでしょ。連絡しておいてほしいのよ。病院はね…………』
ちょっと待って、私が慧ちゃんに電話?!
「お母さん、慧ちゃんの電話番号教えるからそっちから電話してよ」
そう言って何とか回避しようと思ったのに
『菜々子さん(慧斗の母親)まだ検査中でついているから、電話するだけでしょ。それに家の事もあるから、そのまま万由も一緒に慧斗君と帰ってらっしゃいよっ!』
「はぁっ?私も?!」
『予定あるの?』
「いや……………なにも」
今のところは……………
ってゆうか、あなたの電話がなかったらきっと予定は入ってましたって!!
『じゃあいいじゃない。すぐに連絡してね、たぶん入院だから………』
そう言って早々に電話を切られてしまった
「……………っ」
今私が慧ちゃんに電話するの?
近くに後藤さんいるのに?
どうしよう……
携帯を見つめたまま固まっていると後藤が
「どうしたの?」と聞いてきた
「あ…………あの……」
取り合えず、後藤に今日か明日には実家に帰ってこいと母親から言われた事を伝えた