君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「万由、俺達が付き合ってた事お母さんに言った?」
「えっ? ううん、言ってない」
ふるふると首を振った
「そう…………?」
だって、そんな事話してたら一緒に来いなんて言わない
「じゃあ今まで通りにしてよう。おかしいだろ? 俺達がよそよそしくしてたら………」
確かにそうだ…………
おばさんが倒れて、慧ちゃんの方が今心配で仕方無いはずなのに私ったら………
「うん、ごめん。分かった」
正直こんなに早く慧ちゃんに会うことになる事になるなんて思わなかった
病院に着くまでの約40分間、少しずつ取り留めの無い話をした
すでに11時を回っていて面会時間はとっくに過ぎていたが、万由の母親の案内で一度病室に顔をだし様子を見た後
万由たちは家に車で送ってもらい、慧斗は母親の家に泊まる事にした
次の日、朝から慧斗の母の病院に出掛けてしまった母親
暇だなぁ…………ってかなんで私も帰って来ちゃったんだろう
『万由………明日なにか予定ある?』
そう言っていた後藤さん、今日なにしてるんだろう…………
本当だったらもしかして今日会ってたかもしれないのに………
『…………キスしていい?』
「…………っ」
思い出したら顔から火がでそうだ
夕方、万由も一度病院に顔をだした
割りと元気そうな慧ちゃんのおばさんにホッとした
「万由ちゃんごめんね。ありがとね、わざわざ」
「いえ、良かったです。元気そうで」
前に見た時より少し痩せたみたいだ
慧斗の母親は、もともと色白で細身だがさらに弱く見えた
「もともと前から心臓が悪かったから、少し無理して倒れたみたいだ。大丈夫2、3日入院して安静するだけだって」
今日は一日、慧ちゃんは病院にいたみたい
「万由、俺明日向こうに帰るから一緒に帰ろう」
「えっ?おばさんいいの?」
「月曜日には仕事だし、だからついでに………どうする?」
「あ……………うん。じゃあ………」
母親達の手前で断る訳にもいかなかった