君が好きになるまで、好きでいていいですか?

そうだったんだ、と窓の外を覗き込みフフッと思い出した様に含み笑いをする慧斗


「ほらっ見て、ここから1年生の教室が見えるんだ。万由1年の時あの教室だっただろ?」


言われて窓の外を眺めると、中庭を挟んだ隣の校舎の2階の教室が見えた

「あ、本当だ。そうそう」

懐かしさがなんだか込み上げてきた

小学生から一緒だった友達が急に大人になったみたいに見えて、グループや話題についていくのがやっとだった

中学生になった慧ちゃんは小学生の私にも全然変わらないままだったのに、中学校にいる慧ちゃんが急に大人に見えて恥ずかしかったっけ…………


「ここからよく万由の様子が見えてたんだ。席がここだったから」

窓側の席に、窮屈そうに座る慧斗

「あれ? こんなに低かったか?机…………」


「あははっ、普通こんなもんだよ。慧ちゃん背が伸びたし、なんか本当父兄みたい」

思わずその滑稽さに笑うと、目を細めながら見上げてきた


「万由は変わらないな、まだ制服着ればいけるんじゃないか?中学生」


その言葉にムッと口を尖らせる

「ははっ……ほら、そうゆうとこ変わってない」

慧ちゃんだって、そうゆう意地悪なとこ変わってないじゃんっ

笑いながら席を立ち、そのまままた窓の外に目を向けた慧斗

「ここからさ………覗いて見てたら泣いてる万由が見えて、急いで教室に駆け込んだの覚えてる?」

「……………」

「何だっけあれ、友達がした学校の幽霊話が怖くて動けなくなっちゃったって、泣いてたんだっけ? クックッ………」


…………覚えてる。あの後慧ちゃんが生徒会の仕事もサボって、手を繋いで家に一緒に帰ってくれたんだった

1年の教室に3年生の慧ちゃんが駆け込んできた時は、大騒ぎになったっけなぁ………

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