君が好きになるまで、好きでいていいですか?
いつもと違い動揺していた浅野を見て、心配になり着いて来たものの、どうやら大丈夫なようでホッと胸を撫で下ろした
この分なら一花さんも大丈夫みたいだし……
フッと顔を上げると、診察室の扉から出てきた見覚えのある人物に、目が離せなくなった
彼女はその扉の前で一度立ち止まり、持っているエコー写真に目を向け少し頬を上げた
そして、俯いて今度は一息溜め息をついた
受付の方に向かおうとしたその人の背中に、思わず声を掛けた
「和音………さん?」
万由の声に振り向いた彼女はやっぱり椎名和音で、声を掛けた万由にギョッとした顔を見せた
すぐに身体を翻し立ち去ろうとする和音を、もう一度呼んで後を追うと、その背中が止まった
「…………なに?」
顔を半分こちらに向け不機嫌に返事を返してきた
どうしよう………呼び止めたものの、実際に状況が分からない
でも、やっぱりそう言う事だろう………
「あの、慧ちゃんに会社を辞めたって……」
「ああ………そっかぁ、あなた慧斗ともうよりを戻したのね」
少し意地悪くそう言う和音を、万由はジッと見つめた
「心配しなくてもいいわ、私はあなた達とは関係ないから」
「関係ないって………だって……」
和音の物言いに、眉をひそめる
「……………」
すぐにまた立ち去ろうとする和音の腕を咄嗟に掴んだ
「慧ちゃんは知ってるんですか? その………慧ちゃんの子共、いるんですよね」
「関係ないって言ってるじゃないっ!」
カッと鋭く睨まれ、手を振りほどかれた