君が好きになるまで、好きでいていいですか?
人が疎らながらも、少し注目を浴びてしまい、和音は目を伏せた
「慧斗とはもう別れたから……………
っと言っても、もともと付き合ってた訳じゃないけどね」
「え………?」
自嘲するようにフッ息をつく彼女が、持っていたエコーの写真を鞄にしまい、真っ直ぐに万由に視線を向ける
「慧斗が好きなのは貴女でしょ、昔から今も。貴女以外の彼の女は全部セフレだったんだから」
私もその一人よっと、そう言って悲しげな笑顔を見せた
「セフレって………」
「…………ああ、言い方が悪かったわね。育ちのいい貴女には」
ちょっと待って、なんか話の主旨が違ってる
大体、ずっと彼女としてつき合ってきたのは和音さんじゃない
で、その結果私と慧ちゃんは別れたんだし…
「私は………」
そんな慧ちゃんは知らない…………だから
反論する言葉が見当たらない
そんな困惑する万由の前で呆れたように溜め息をついた
「安心して、慧斗が結婚して子供がほしいのは万由ちゃんとだから、私とじゃない。
近い内にちゃんと下ろすから」
「なんで……? 意味が分からないです。ちゃんと慧ちゃんに話て………」
「余計なことしないでっ」
話を遮られ、物々しい雰囲気になる
「私が子共なんて育てられるはずないじゃない。貴女みたいにちゃんと育てられた事がないのに。
慧斗はね、ちゃんとした家庭を作りたいの。それに私は必要ないから、欲しいのは貴女との子供」
「そんなことっ…………」
「必要のない人間から産まれたって、結局要らない子になるだけだから………頼むから、余計なこと言わないで」
ピシャリとそう言って顔を歪ませ、万由の話なんて聞く耳持たず、足早に身体を翻し行ってしまった
「万由ちゃんの知り合い?」