君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「うん…………」
先に歩き出して、万由の手を引く慧斗
「………ったく、なんて顔してんだよ」
今にも泣き出しそうな万由の顔を見て、 また溜め息をついた
誰にも会わない、話の出来る場所をと、少し電車を乗り継いで落ち着いた洋風レストラン
ひとテーブルごとに個室のようにパーティションで仕切られてて、比較的広い店内なのにどれだけ人がいるのかも分からない
静かな音楽が流れて、隣の話声は普通なのに、苦にならない
「少し遠いけどたまに来るんだ、いいだろここ」
今日のお勧めメニューからお好みのハンバーグステーキを選んで、それに合ったワインやシャンパンなどの洋酒も飲める小洒落た店だ
なんだか以外
こうゆう雰囲気の中にいる慧ちゃん
「よく来るって、誰かと?」
訊いてる途中で分かった
「ああ………まあ和音と、よくね」
やっぱり…………そうゆう事はちゃんと区別してたんだ
「別にいいだろ。どうせ話って、俺が期待する話じゃないんだろうし」
「えっ………?」
注文するメニューを見ながら、少し視線を落としたままそう言われ、万由が顔を上げた
「言わなくても分かるよ、あいつを見送った万由を見ればな………」
「慧ちゃん………」
ごめん、でも今日はそんな話じゃない
「和音とも、もう来ないだろうし」