君が好きになるまで、好きでいていいですか?
軽めに注文した食事も、あまり手をつけないままグラスワインだけ一気に飲み干した慧斗
ゆっくりと正面にいる万由を見据えた
「………俺も和音も親が離婚してて、初めはそんな共通点から意気投合したんだ。好きとかそうゆうんじゃなくて、なんて言うかただ話が合うくらいの軽い感じで………」
慧斗が諦めたように口を開いた
「それがセフレって事?」
「……………そう言う風に言われたらそうかもしれないな。」
「和音さんは、それだけじゃぁなかったんじゃないの?」
そう言う万由に、目を伏せる
「和音の親は、お互い親同士の決めた結婚だったらしくて、和音がもう5歳のころには離婚して、母方の祖父に育てられてたんだが、それが厳しい人だったらしい」
慧斗が和音の事を話し出した
「親二人は会いにこないし、別々で結婚して、自分は忘れられてるって」
その内中学の時、介護の末その祖父も亡くなって、引き取られるどころか家や財産は母親に取られ、施設に入ったらしい
そんな生い立ちから
人と、あまり衝突しないように生きてきて、
でも常に自分は必要ない人間だと思って
人と、距離をおいてきたらしい
「俺も、裏切ってた父さんから逃げて、俺を無視してた母さんが嫌いで………何となく分かる気がしたんだ、その寂しさが」
「慧ちゃん………」