君が好きになるまで、好きでいていいですか?

そう言う思いが、建築士になって『家』とか『居場所』という概念にこだわって、この仕事を選んだ事も二人の共通点だったと目を細めて話す
だから仕事での相性もよかったと………


「だだ、将来への考え方は違ったんだ……」


「将来?」

万由が首を傾げた

「俺は………前にも言ったけど万由と万由の家族みたいな家庭を作りたいって言っただろ?」


「……………うん」


「和音は逆に、いつか壊れる家庭は初めからない方がいいって………結婚や家族という形に嫌悪感さえ感じているみたいだったんだ」


もう既に私には理解出来ない彼女の思いなんだろう………

はぁっ………と溜め息をつく慧斗


「そんな話をずっとしてきから、今更子供が出来たから結婚しようなんて言っても信じないだろ、あいつは………」


「…………」


「上手くいくかも分からない、だから……」


目の前にいるのは、本当に私の大好きな慧ちゃんなんだろうか…………?

項垂れて頭を抱えているその姿は、話をする前には想像つかなかった





「…………ねぇ、親がそうだったから子供もそうなるっておかしいでしょ?」


ずっと聞いていた万由が、口を開いた


「私だって、うちのお母さんみたいな専業主婦より仕事がしたいし、我慢して旦那の帰りを待つなんて出来ない」


私が言う事なんか、慧ちゃんたちより全然的外れなのかもしれないけど

「子供のために全て手作りの登校用バッグや雑巾や、それに浴衣なんか………お母さんがやってたからってわたしには出来ないし」

そんなの買えばいいと思うし、
でも私の母は確かに完璧な専業主婦だった
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