君が好きになるまで、好きでいていいですか?
………………会社に来ると現実が待っている
いやっ! 昨日の出来事だって現実だ
でも、やっぱり溜め息が出る
お昼だというのに、今日も私はデスク飯
大体なんで面倒臭い書類ばかり私に回ってくるの…………?
『いや~、昨日桜井さんに頼んだら
「明日沢村さんに頼めばいいじゃないですか。大丈夫ですよ、沢村さんだったら出来ますよぉ」
って言うからさぁ』
スケジュールってものがあるでしょ
『今日、急ぎの仕事は沢村さんに回してくれって言われちゃったんだよ。速いから』
期限が同じ書類なんて出来るわけないじゃないっ
「嗚呼………企画部に早く戻りたい」
「あれ? 沢村さんお昼食堂行かないの?
木原さんと食べないの?」
出先から帰って来た後藤課長が、そう言って万由の席に近付いてきた
「…………昼まで仕事してるの?」
万由のお弁当を拡げながらパソコンのついた状況を見て眉をひそめた
「……………」
一旦パソコンから手を離した万由の机にある書類の束をみて頭を抱えた
「どうしてこんな事になってるんだ?」
少し声のトーンが変わった
「……………」
手を止めてていいんだろうか…………
近くにある桜井さんの席からスケジュールらしき用紙を見つけて顔をしかめている
ナニあれ、個人スケジュール的なのあるじゃん
私、見せてもらって無いんだけど…………
「あの…………」
そのうち、何人かの営業部の人達が昼食から帰ってきた
「ちょっといいか」
その帰ってきた社員達を、スケジュール用紙を持ったままトーンの低い声で呼び止めた
パソコンを叩く私の横で何やら不穏な空気が漂ってきた
食べかけのお弁当を静かに片付ける
「…………」
「なんで3時までのこの会議資料作成、沢村さんがやってるんだ? 桜井さんの仕事だろう。それと同時に今日中に仕上げるプロジェクトメンバー紹介のトレースまでここにあるが、どうゆう事だ? これじゃあ沢村さんがオーバーワークだろ」
「それは…………」
お互いに目配せながら口ごもっている
「桜井さん」