君が好きになるまで、好きでいていいですか?


一週間

いつものように朝、雨じゃない限り屋上に顔をだしても


「来てくれる訳、ないよなぁ………」

始業1時間前に来て、設置されてあるベンチに座り、開かない扉を眺める


話がしたいと、メールをしても返ってきた返事は…………


『ごめん、しばらく忙しいから』


完全に避けられてるよね、これって……


偶然に社内で見かける可能性はせいぜい20% 

会議が終わった後の会議室から何人かの男性社員たちと出てきて、書類に目を通しながら歩く彼を遠目に見つけた

基本後藤さんは忙しい筈

いつも会ってくれていた時間は、彼が作ってくれていたんだ

そんな事を考えながら溜め息をつく


 キィ………

屋上扉が開く重たい音が聞こえたて、咄嗟に振り向いたが………


「……………」


そこに立っていたのは山吹薫だった


「おはようございます。沢村さん」


「おはようございます…………」


秘書らしく、パリッとしたスーツで綺麗に髪も整って、朝から清潔感の漂う彼女がニッコリと微笑み挨拶をしてきた


明らかに真っ直ぐ、万由に視線を向けてきているから、
まず、朝のこのどんよりとした空を見に屋上へ来たわけではなさそうだ


「残念? 思った通りの人が現れなくて」

笑顔で挨拶をしてきたものの、好意的ではないのが分かる


「何かご用ですか?」


「ええ、少しお話しが出来たらと思って」


「話………ですか?」

正直、私にとっていい話ではないのが分かるので、遠慮したいところだ

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