君が好きになるまで、好きでいていいですか?
営業部に戻ってきた数人の営業事務の女子社員たちの中から桜井亜沙美を呼んだ
「あっ、後藤課長お帰りなさい。」
今この状況が読めないのか、明るい声をだし後藤課長のもとへ近づいてきた
どうも、この営業部事務の女子社員を仕切っているのは入社5年の彼女らしい
他のお局様もいるのに、見た感じは逆らえないといった感じだ
「スケジュールどうりになってないが、君は今何をやってるんだ?」
後藤課長の低い声色にさすがに少し引いたようだか、負けてないようだ
「私ですかぁ?今は林さん達の作成した資料のチェックしてます。だって高石さん達が最近誤字脱字が多いって言われたから」
ようは、事務仕事の総まとめをかって出ているって事?
「沢村さんのやってる作業は、昨日桜井さんがやるはずのもんだろ?」
「そうですけどぉ、
『沢村さんみたいにアレンジ入れてまとめてくれ』って言ってきたから、
だったら始めから沢村さんがやった方がいいと思って、時間がないのにそんな事出来ないですから。」
「……………」
男性社員達がもう目を逸らし俯いたままだ
「沢村さん、頼まれた作業全部やってたの?! やる事一緒だから気楽にねって言ったのにぃ。すごいっ張り切っちゃったのね。言ってくれたらよかったのにぃ」
万由の方を見て顔を覗き込んだ
私が話しかけてこない様に避けてたよね、絶対……………
「……………すみません」
後藤課長の小さな溜め息が堕ちてくる
「分かった。取り合えず沢村さんは休憩に行って、後は、俺が引き継ぐから。それとチェックは各自で、
桜井さんは今からこのメンバー紹介のトレース、定時までに終わるだろ?」
「はぁ~い」
「事務の子に頼む書類は、自分もチェック出来るくらい時間の余裕を持たせるように、分かったか?」
男性社員達も短く「はい」と声を揃えた
昼休憩が終わっていて、バラバラと席に戻っていく
後藤課長も、万由の作成途中の作業を引き継ぐための説明をして、席に戻ってパソコンを立ち上げた
課長、お昼食べて無いんじゃないかなぁ