君が好きになるまで、好きでいていいですか?
無情にも乗り気な山吹常務に対し、新規受注を条件に出されたお見合いに、薫の返事とは関係なく首を傾げていた後藤
初めは、こんなやり方には賛成できないと先方には仕事に関する事以外は受け入れないと無効を申し入れていたが、
思いの外ハッキリとして熱心な後藤の態度に社長が折れた
そして、受注のプレゼンと新規受注に関しては、後藤の進行によってこれからも纏まる事になった
それでいて、改めて室井透から山吹薫への交際の申し入れがあり、渋々彼女もそれは受け入れたらしい
「私は、佳樹さんに止めて貰いたかったのに」
そう言う薫に頭を下げた後藤
「それは初めから出来ないと言ったでしょう」
出張の前にお見合い話についてそう言われたが、仕事以外の介入はしないと、ハッキリ断っていた
「…………っ」
少し止めていたエレベーターから手を放し、万由を捜しにそのまま二階分の階段を降りようとした
「万由っ遅いよぉ、ミーティング始まっちゃうよぉ」
一階分を降りた企画部のあるフロアーで帰ってきていた万由を見つけた
「……………」
「ごめんなさいっ、帰りに営業部の佐藤さんに会って喋ってたら遅くなっちゃったぁ」
そう言いながらさっきのエレベーター内とは違い、バタバタと元気よく仕事に戻る彼女を
後藤は、内階段から目を細めながら見つめた