君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「……………」
万由がトイレに立って、高石と隣同士で座る歩美
「なに?」
そんな歩美の顔を覗き込む高石
「いや、沢村さんっていつもあんな感じ?」
「そうよ」
つくねを口に頬張りながらトイレに行った万由の後ろを見守る
「俺たちが前に付き合ってたこと、沢村さん知らないんだぁ」
「あー………言ってない。面倒だから」
「面倒?」
自分のビールのおかわりを頼むついでに、「焼酎でいいでしょ」と、高石の分も頼んだ
「自分の事なんか全然ちゃんとしないくせに、自分以外の人の事ばっかり気にするから、あの子は」
「相変わらずお姉さんだねぇ、歩美は」
クックッと笑う高石を、キッと睨みつける
「名前で呼ばないで」
「呆気なく振られたのは、俺の方なのになぁ」
すぐに持ってきた焼酎と、歩美のビールに乾杯とグラスを当てる
「気の多い男は嫌いなの。素直に桜井さんだけ見てないとまた振られるわよ」
入社当時から桜井さんに振られ続けていた高石と、後藤さんに振られた歩美が何となく付き合いはしたものの
同じ部署にいる桜井さんを諦めてはない高石に愛想をつかせただけのことだ
「たかが3ヶ月付き合ってただけじゃない」
おかげで誰にも気付かれないまま終わった関係
ただの同期でしか、見られてないはずなのに、そうゆうことは気が付かれちゃうんだよなぁ万由には………