君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「だったら今はその気持ちを伝えなきゃ」
「……………うん、でも………」
実際は会社で話すどころか、会うことさえ難しいからなぁ
そんな二人の会話に、首を傾げる高石
「課長と沢村さんって、なんで揉めてんだ?」
社内の噂上では、常務の娘である山吹薫の強引な割り込みに、スレ違い状態だとされているが、どうも話が噛み合わない
「ねぇ…………高石はもし彼女が浮気したって誤解してたとしたら、どうしたら信じてくれる?」
「えっ、浮気? したの、沢村さんが?」
ええっ、そうゆう事なの?と、疑いの目を向ける
「違うっ。浮気したんじゃないかって誤解されてるのを、なんて言ったらそうじゃないってわかってくれるか訊いてるの」
「………誤解ねぇ?」
うーん………と考え込み、答えを待つ二人の前で徐に両手を合わせた高石
くねっと女性的な仕草を見せながら
「あたし、今日は帰りたくない………なんて言われたら信じちゃうかなぁ」
「ええ……………っ」
「…………あんた、チョロいな」
呆れた顔してドン引きする二人
「なんだよ、男ってのは単純なんだよ。
心の浮気はなんとか許せても、身体の浮気は絶対に許せない。でも、それが誤解なら逆にそれを自分に捧げてくれたら嬉しいもんなんだよっ」
そういって、焼酎を飲みながら口を尖らせる高石
「大体、浮気を疑うって事は、要は焼きもちだろ? 少なからず男のプライドにも関わってくるわけだから、自分から許すのは難しいだろ………」
「へぇっ、男って面倒くさいのね………」
高石が言ったことに、歩美が思わず呟く
「………………」