君が好きになるまで、好きでいていいですか?

男のプライド?…………ってことはやっぱり私、
後藤さんを傷つけたんだ


「……………いかなきゃ」


「万由?」

ゆっくり立ち上がろうとする万由の手を引き戻す

「どこいくの?」

「後藤さんのところに、だって今日はもう仕事はしてないんですよね?」


高石にそう訊くと、「確かに仕事じゃないはずだけど……」そう答えるが


「どこにいるか分かってるの?」


後藤さんの行くとこで、思い当たるとこはあそこしか知らないけど


「たぶん、って言うかそこ以外は家しか分からないけど………」


『Room 』

あそこなら、もしかしてまだ飲んでるかもしれない

「もし、山吹さんと一緒だったらどうするの?家まで行ってそこに二人でいたら?」

ううっ歩美さん………また想像したくない状況を


「お前はまた最悪な事言うんだな、でも………」

高石が同情するようにそう言ったのを、歩美が手のひらを向けて言葉を止める


「………?」


「そしたらどうするの?万由」


中腰状態でいる万由の手を掴んだまま、見上げてそう言う歩美


そしたら、どうしよう…………でも


「それでも話をしてくる。明日や明後日になってもきっと変わらないっ」

忙しいを言い訳されてるのならこっちから行くしかない

それは、慧ちゃんの時に嫌と言うほど経験した

嫌われてるこのままの悪い状態以上に、最悪な事があるわけがない

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