君が好きになるまで、好きでいていいですか?
好きな気持ちの伝え方
シトシトと、暗い雨がまとわりついてくる中、人は疎らだ
さっきまで暫く激しい雨が降っていたのか、道路は濡れていると言うより、ところ所通れないくらいの溜まり水かある
天気予報は見事に外れたみたいで、傘を持っていない人が店先や、駅構内などにに固まっている
「折り畳み持ってて良かった………」
なんとか『Room 』について、その扉を開ける
「あれ? 万由ちゃん?」
すぐにカウンターに目をやると、そこに座っていたのは浅野主任
そのほか、後藤らしき人は見当たらない
「あの…………後藤さん来てないですか?」
オズオズと翔さんにそう訊いてみた
「居ましたよ、ちょっと前まで。もう帰りましたよ」
ああ、行き違いだったんだ…………
「浅野主任が一緒だったんですね」
なんとなくホッとしてそう言ったけど
「さっきまで薫も一緒だったんだ、もう帰ったけど……」
浅野のその言葉でギュッと心臓が掴まれた
「そうですか………」
やっぱり二人は一緒にいるんだ
思わず涙が出そうになるのをグッと堪えた
「もう家についてると思うけど………万由ちゃん?」
頭の中が、真っ黒く塗り潰されていく感じだ