君が好きになるまで、好きでいていいですか?
留守かもしれない、なんて思いながらも
中から人の足音がする
居るんだと思った途端、言い様のないほど心臓が飛び上がった
えっ?
あ、微かに聴こえる…………人の声?
『誰か来たみたいだ、ちょっと待って………』
後藤のそう言っている言葉が、その玄関のドア越しから聴こえた
「っ?!」
どうしよう…………やっぱり誰かと一緒みたいだ
逃げる暇もなく、ドアが開いた
「あれ、万由っ?!」
「っ!!!」
ドアを開けた後藤は、濡れた髪にタオルケットを乗せたまま
…………上半身は何も着ていない
下は部屋着らしいハーフパンツを
シャワーに入ってて急いで履いたんだ
中にいるのはやっぱり山吹さん?
「ごっ……………ごめんなさい!」
あれだけ気合い入れて、たとえ山吹さんがいても、話だけでもなんて思ってたけど
無理だ
無理だよぉ………
すぐに、ドアから身体を引いて逃げ出した
あの格好で、奥の部屋にはきっと山吹さんがいて、二人の親密な想像しか出来なくて、グッと堪えた拍子に涙が溢れだした
「ちょっ…………万由っ待って!」
反射神経は後藤の方が上だった