君が好きになるまで、好きでいていいですか?

そのまま、後藤にガッツリ腕を掴まれた


思いっきり引っ張られて、後ろに倒れそうになったのを受け止められ支えられた

ふわりと微かなシャンプーの香りが、彼女との親密な想像に発車を掛ける



「ぉ……ぉ邪魔するつもりじゃなくて………」

顔を見る事さえ出来ないで俯いたまま、
そのまま玄関まで引っ張られられた

「とにかく入って万由」


「あ、えっ………あの」

入るの?!


玄関のドアを背にして入って、パタンとその扉が閉められた



……………あれ?

気のせいか、部屋の中に人の気配が感じない
玄関に靴もないみたいだけど……………

そう確認した後、後藤を見上げた


「あの………誰かいらっしゃるんじゃぁ………」

「いや誰もいないよ」

嘘をついているようには思えないが

「でも、さっき誰かと話していませんでした?」


「話? あ………」


急に何かを思い出したようのに、玄関の横の下駄箱にあった携帯を手にし、耳にあてた

「悪い、万由が来たから切るな………」

えっ、電話?
じゃあさっきの玄関前の『待って』は………


ジッと後藤の行動を見つめる万由に、携帯を切って少し持ち上げてみせる

「一花から、電話掛かってきてたんだ」


「え…………じゃぁ、シャワーは…………?」

濡れた髪、指を差してしまった



「ああ……? すごい雨降ってただろ?傘持ってなくて、濡れてね………だから」


「あ………っ」

な、な、な、なんて事考えてたんだ私………
さっきまでの明らかに勝手な想像で、嫉妬して頭がカッとなっていた

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