君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「なんで……?」

立ち止まったまま俯いて、右手にグッと力を入れた

「えっ?」


「なんでそんなに普通なんですか?」


さっきからイライラと落ち着かないのは、私ばっかり緊張していたからだ

会社で見かけても、最近は話し掛けるどころか目も合わせてくれなかった

なのにどうして今普通に話ができるの?


「ずっと悩んでたのに…………………
嫌な思いさせたのをどうしたらちゃんと謝れるのかって………」


なんだか悔しい


「それに、愛想尽かされたって何ですか?私を無視してたのは後藤さんじゃないですか………」


目の前にいる後藤を見上げ、もう自分で何が言いたいのか分からなくなっていく



「忙しいを理由にして、じゃあなんで山吹さんと一緒にいるんですか?
山吹さんって後藤さんの何なんですか?」


私が慧ちゃんと一緒にいるのが嫌だと思ったのなら、自分はどうして私の前で山吹さんといられるの?



「いい加減人の事、振り回さないでください」




「…………振り回してるのはそっちだろ」



言いきった万由を見下ろしながら寂しそうな顔を見せる



「この時間に、一人で………男の部屋に来る意味分かってるのか?」




「…………」



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