君が好きになるまで、好きでいていいですか?

どうしよう……………

玄関でまだ立ちっぱなしの二人
無情にも雨は止む様子がない

こん中で帰りたくないよなぁ………

「………………」

そう思い後藤を見上げて

「私………今日は帰りたくないです」

ボソリとそう呟く様に言った


あれ?このフレーズってなんかさっき誰かに訊いたような………

「万由………」


「ん……?」


玄関のドアに凭れた背中を離されるように引き寄せられ、万由越しに後藤の手が、ドアの鍵に伸びていった


 カチャッ


「あ……………」


「終電がまだあるからやっぱりとか、明日も会社がとか、そう言う言い訳はもう聞けないけど………いい?」




こ………これは、なんか別のスイッチ押したか私





とりあえずシャワーを借りて、明らかに大きいサイズの後藤の服を借りた

って言うかハーフパンツの脚の長さは既にハーフではない………


「え、お仕事ですか?」


リビングでノートパソコンに向き合っていた後藤

缶ビールを飲みながら、書類らしきものに目を通している


「ちょっとだけね。習慣みたいなものだから、さっき買ったプリン食べる?」

とりあえずマンションの1階にあるコンビニで、臨時に必要な物を揃えて、その次いでにパンやプリンまで買ってきた

冷蔵庫にしまってくれたのを、取ろうと立ち上がる


「いえ、自分で」



プリンを持って、ローテーブルとソファーの前に座る後藤の隣にペタンと腰を落とした

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