君が好きになるまで、好きでいていいですか?


「……………」

パソコンを閉じて、書類をケースにまとめて片付け始めた後藤



「終わりですか?」

「雷が心配でバックアップとっておいただけだから…………おいしい?」

雨はまだ降っているみたいだけど、とりあえず雷はもう遠く聴こえなくなっていた


今はまっているコンビニのプリンを食べる万由を覗き込む


「おいしいですよ、食べます?」


そう言って小さなプラスチックのスプーンにカルメラソースを絡めながら差し出すと、なんの躊躇もなくパクりと口を持ってきた


「甘っ」

そう、普通のより食感が滑らかで甘いプリンなのだ


なんだか私が知ってる後藤さんと違う
大人な彼が砕けてちょっと少年っぽい感じ


「なんか、恋人同士みたい」


「恋人じゃないの………?」



『こいびと』になったの?
気持ちは伝えたけど、まだその他の事って解決したんだっけ?




「今日、一緒だったんですよね……山吹さんと」

そう、彼女が屋上で言った後藤さんとの関係はまだ私の中で燻ったままだ

それとも………慧ちゃんとの事でお互いチャラになってしまうんだろうか?


「万由、もしかして山吹さんに何か言われた?」

「………迷走している後藤さんの気紛れだって言われました。今はスレ違っているだけで、付き合ってるのは山吹さんだって」


遠目で後藤さんを見掛ける事しか出来なくなっていた所に言われたあの時は、本当に凹んだ

あんなにハッキリ言い切ったんだから全てが嘘なんて事は…………

< 305 / 333 >

この作品をシェア

pagetop