君が好きになるまで、好きでいていいですか?






ふわり………温かな指が頬にかかった髪を触り

くすぐったくて顔を叛け、ふと目を覚ます


「あ…………」


「ごめん、起こした?」

近くにある肌の温かさと、甘やかされている様な笑顔



「………私、眠ってました?」

シーツを顔まで持って恥ずかしさで目を逸らす


「ほんの20分くらいだよ」


そのままシーツごと腕の中に引き寄せられる

「…………万由」

キュッと、存在を確かめるくらいに抱き締め何度も名前を呼ぶ




「後藤さん?」

何か不安でもあるのかと、心配で顔を覗き込んだ



「元カレの事、訊いていい?」


「あ………」

そういえば私、まだちゃんと話してなかった
あんな風に山吹さんの事、攻め立てておいて


「一花の病院での事は、先輩におおかた訊いたけど」


『Room 』を出た後、ちゃんと会って話を聞こうと万由を捜したものの、どこにいるのか分からないまま、大雨になった


「どうしたか、全部知りたい」


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