君が好きになるまで、好きでいていいですか?


「あ、課長……おはようごさいますっ」


出会った社員は、昨日居酒屋にいた北川と橋本だ


普通に挨拶を返す後藤


「…………おはようごさいます」

仕方なく万由も後藤の隣から顔を出して挨拶する

二人の目がなにげに下がる

ほらぁっ
すぐに繋がった手に視線が動いてるぅ………


「仲直り出来たんですね。良かった、昨日は余計な事言ったと思ってたから」

ニッコリと万由にそう言う北川


「昨日?」

後藤の頬がピクリと上がる

「昨日は北川たちとも一緒だったのか?」

歩みを止めて不思議そうに万由を見下ろす


「へっ? いえ、偶然居酒屋で会っただけです。」


「木原さんと来てた居酒屋に僕たちもいたんですよ。一緒に飲もうって誘ったんですけど断られちゃいまして、高石さんだけはそっちに居座ってましたけど」

さらっと昨日の事を口にする北川

だから同じ服だってこともバレてるよねぇ


「高石も? 昨日一緒にいたのか?」

「はい?」


「…………」

万由を見つめ、スッと手をそのまま引き寄せて、二人を追い越し顔だけ彼らに向けた後藤


「もう万由を誘うなよ………橋本」

ぼそりと呟いた

「は………っ?」

「へ…………っ」


そのまま万由の手を引き立ち去る後藤の背中に、呆然とする二人


「なんてこと言うんですかっ?!」

少し早歩きになる後藤を見上げる


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