君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「万由、営業部の連中ってのは軽くてチャラい奴ばかりだから信用するな」


少し不機嫌に万由に顔を向ける


……………貴方も営業部でしょう


「そんなにモテませんよ私は………」







会社へと手を繋いだまま向かう後藤と万由の背中を見つめ、茫然とする橋本の肩をポンポンと同情の念をこめて叩く北川

「やっぱり復活したな、もう諦めろ橋本」

「ガチだったのに………」


肩を落とす橋本の思いは、万由には全く全然気づかれることはなかった






手を引かれたまま、エレベーターに乗り込みそのまま部署にも寄らずに最上階から屋上の階段を上がる


昨日の嵐のような天気とは一変して、今日は快晴だ


まだ足元には水も溜まったままだが、キラキラとした反射した風景は嫌いじゃない


「後藤さん?」

いつもと違ってそんなに時間に余裕がある訳じゃないんだけど………


手を放し、向かい合った万由を見下ろす後藤

「万由、ここからやり直させてくれないかな」


「やり直すって?」


意味が分からず首を傾ける

「出直すって言っただろ、告白」


「……………こくはくって………あ」



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